転職エージェントの選び方と失敗しないコツを解説

転職エージェントの選び方は、自分のキャリア目標や理想の働き方に適したサービスを見つけることが重要です。また、複数の転職エージェントを併用しリスクヘッジを図ることが、エージェント選びに失敗しないコツでもあります。

転職エージェントは公開・非公開求人の検索から応募書類の添削、面接対策、さらには企業との条件交渉まで、転職活動全体をサポートしてくれるサービスですが、日本には約31,227社ものエージェントが存在すると言われており（厚生労働省「民営職業紹介事業者数の推移」）、その中から最適なエージェントを選ぶのは簡単ではありません。

本記事では、100社以上のエージェントを分析した業界のプロが、実際の体験談や評判をもとに「失敗しない転職エージェントの選び方」を徹底解説します。転職エージェントを活用し、理想のキャリアを実現するためのポイントを知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

転職業界のプロが解説する転職エージェントの選び方

100社以上の転職エージェントを分析した業界のプロが、転職エージェントの選び方について紹介します。

民営職業紹介事業所は日本に約3万社存在すると言われています。（厚生労働省「民営職業紹介事業者数の推移」）

数多くある転職エージェントごとに強みとする業界・職種・対象年齢が異なり「どれが一番自分に合うエージェントなのかわからない」と悩んでしまいますが、下記の選び方の基準やポイントを抑えることで良いエージェント選びができます。

1.求人の数が多いか

転職を成功させるためには、求人を豊富に持つエージェントを選ぶことが重要です。

転職に関して転職者が行政に要望する事項（厚生労働省「企業における転職者の採用等に関する課題」）でも、「より多くの求人情報の提供」という要望が最も多く挙げられています。

下図は転職エージェントの仕組みを図表したものですが、転職エージェントは求職者と採用企業の間に立ち、その企業独自のコネクションで求人情報を保有しています。

つまり、転職エージェントごとに、採用企業との関係性や歴史は異なり求人の「数」や「質」が違うため、自分が希望する条件に合う求人がどれくらいありそうか？の視点が大切なのです。

2.希望年収を満たす求人が豊富にあるか

転職エージェントを選ぶポイントとして、希望年収を満たす求人が豊富にあるかどうかという点は非常に重要です。

下図は階級別の所得金額の分布（厚生労働省「国民生活基礎調査」） によると、所得金額の平均値は524.2万円ですが、年収800万円以上を稼ぐ人は全体のわずか20%に過ぎません。これは、ハイクラス求人の少なさや、そうしたポジションへの転職がいかに難しいかを示しています。

希望年収を達成するためには、適切なエージェントを選び、的確なサポートを受けることが転職成功につながるのです。

3.希望の業界・職種の求人を取り扱っているか

転職を成功させるためには、業界や職種ごとに求められるスキルや経験が異なるため、自分のキャリアに合った求人を扱っているエージェントを見極めることで、より効果的に転職活動を進められます。

下図は業界・業種別の平均給与を図示したグラフ（国税庁 「民間給与実態統計調査」）ですが、ご覧のように業界により給与水準が異なることがわかります。

例として、高年収で有名な業界で言うと「金融」「証券」「商社」「IT・インターネット」「コンサルティング」「製造業」になるため、自分のスキルと照らし合わせながら業界選定をすることが重要になります。

また、もし現職での業界では高年収が狙えない場合は、なるべく20代などの若いうちに異業種転職へのキャリアチェンジをすることも大切です。20代であれば「ポテンシャル採用」「第二新卒採用」などの枠があり、実務経験がなくても異業種転換のハードルが低いことが理由になります。

4.スカウト型・エージェント型・サイト型か

転職支援サービスを選ぶ際に「転職エージェント」「転職サイト」「スカウト型転職サイト」の種類別に使い分けをすることも重要なポイントです。

上記の比較のように、「転職エージェント」「転職サイト」「スカウト型転職サイト」は用途が異なるため、自分の転職経験値やフェーズに合わせて選んでいくことが大切になります。

5.サポート機能が充実しているか

転職を成功させるためには、転職エージェントのサポート機能が充実していることが非常に重要です。

下図は転職活動を開始してから実際に転職活動を終えるまでのプロセスを示したものです。

ご覧のように、転職活動には「自己分析」「求人検索」「レジュメ添削」「書類審査」「筆記試験」「面接」「内定」「条件交渉」とオファーを獲得し内諾するまでに多くのアクティビティがあることから、これらの作業を自分ひとりで行うことは思考が独りよがりになってしまったりモチベーション維持が難しいなどの問題が生じてしまいます。

そうした中で、転職エージェントを利用することでキャリアカウンセラーがサポートしてくれるため、作業の効率化や第三者の視点からアドバイスにより視野の広い転職活動ができるのです。

一方で注意点としては、転職エージェントごとにサポートの質は異なるため、下記のサポート内容を他社比較しながらサポートの質を確認していくことをおすすめします。

【総合型】おすすめ転職エージェント・転職サイト3選

総合型のおすすめ転職エージェントは下記です。

1.リクルートエージェント

2.JACリクルートメント

3.ビズリーチ

【失敗しない！】転職エージェントを活用するコツ

100社以上の転職エージェントを分析した業界のプロが、転職エージェントを活用するコツについて紹介します。

下記のポイントを押さえることで転職エージェントを上手く使うことができます。

1.希望条件を明確に伝える

希望条件を明確に伝えることは、転職エージェントを効果的に活用する上で不可欠です。

なぜなら、具体的な要望が明確であるほど、エージェントは適切な求人を精度高く紹介できるからです。例えば、「年収500万円以上」「東京都内」「IT業界のプロジェクトマネージャー」「リモートワーク可能」など詳細な条件を伝えることで、マッチング精度が向上します。

一方、希望条件が曖昧な場合、ミスマッチが生じやすく、転職活動が長期化するリスクもあります。そのため、自分の希望条件を詳細に整理し、エージェントに正確に伝えることが転職成功の鍵となります。

2.キャリアアドバイザーと頻繁に連絡を取る

キャリアアドバイザーとの密なコミュニケーションは、転職活動をスムーズに進めるために非常に重要です。自分の希望や状況の変化をしっかり伝えることで、より自分に合った求人を提案してもらえるだけでなく、面接対策や書類添削のアドバイスも的確になります。

また、こまめに連絡を取ることで、企業側の動きや求人の最新情報を迅速にキャッチでき、チャンスを逃さないようにすることが可能です。

3.転職エージェントを複数併用する

担当者との相性は転職活動の成否に直結するため、転職エージェントを複数併用して利用することをおすすめします。

複数併用することで、仮に1社の転職エージェントと相性が合わない場合でも、リスクヘッジとして他の代替エージェントにスムーズに切り替えることができ、効率的な転職活動を進めることができるのです。一方で、複数併用には注意点やリスクもあるため、気になる方は下記記事も一緒にお読みください。

【体験談】転職エージェントを利用する6つのメリット

転職エージェントを利用するメリットについて、「実際に利用した人の体験談」をもとに解説します。

1.無料で利用できる

転職エージェントは基本的に無料で利用できます。

企業側が手数料を支払うビジネスモデルのため、求職者は費用を気にせずにサポートを受けられます。

2.多くの求人から選ぶことができる

転職エージェントを利用することで、紹介される求人の数が増え選択肢の幅が広がるメリットがあります。

例えば下記は有名な転職エージェント・転職サイトの求人数を比較した表ですが、ご覧のようにエージェントにより求人数が異なることがわかります。

つまり、転職に求める要件には様々な条件があるため、選択肢が多ければ多いほど条件を満たす確率が上がってくると言えます。

3.転職支援が受けられる

転職エージェントを利用するメリットとして、転職活動において様々な専門的なサポートを受けることができる点にあります。

下図は転職エージェントを「使った場合」と「使わない場合」を比較した図表です。

ご覧のように、転職エージェントを使わない場合は「レジュメ添削」「志望動機」「自己分析」「求人検索（求人応募）」「面接対策」「年収交渉」など転職活動に必要なことをすべて一人で対応しなければいけません。

転職エージェントを活用することで、下記のようなサポートがあるため内定の合格率をより高めることができるのです。

4.非公開求人を紹介してもらえる

転職エージェントを利用する大きなメリットの一つは、好条件の非公開求人を紹介してもらえることです。

非公開求人とは、企業が特定のスキルや経験を持つ人材をピンポイントで探している場合や、人気な求人に対する集中応募を防ぐために公開されない求人のことを指します。

下図は転職をしようと思ったきっかけ（会社を辞めた理由）を示した表になりますが、「労働時間・休日の労働条件」「給料などの収入」「職場の人間関係」など様々な理由があることがわかります。（厚生労働省 「雇用動向調査結果の動向」）

つまり、転職に求める要件には様々な条件があるため、条件に見合う案件を探すことは決して簡単なことではありません。

そうした中で、非公開求人を扱う転職エージェントを使うことで、一般には出回らない案件に出会うことができるのです。

5.年代に合った求人を紹介してくれる

下図は年齢・性別の転職者の割合を記した図表（厚生労働省 「雇用動向調査結果」）ですが、20代は転職入職率が15.6%~19.1%と高く、次いで30代が8.5%~14.2%となり、40代・50代になると転職入職率は最も低くなる傾向にあります。

つまり、年代・年齢によっても、“転職のしやすさ”は異なるため、自身の年齢やこれまで身につけていたスキルや専門性を自己分析しながら、相性の合う転職エージェントを見つけていくことが大切になります。

6.書類の添削（履歴書・職務経歴書）と面接対策が受けられる

転職エージェントを利用することで、求人の紹介だけでなくキャリアアドバイザーによる書類添削や面接対策、条件交渉といった充実したサポートを無料で受けることができます。

下図は転職活動を開始してから実際に転職活動を終えるまでのプロセスを示したものです。

ご覧のように、転職活動には「自己分析」「求人検索」「レジュメ添削」「書類審査」「筆記試験」「面接」「内定」「条件交渉」とオファーを獲得し内諾するまでに多くのアクティビティがあることから、これらの作業を自分ひとりで行うことは思考が独りよがりになってしまったりモチベーション維持が難しいなどの問題が生じてしまいます。

そうした中で、転職エージェントを利用することでキャリアカウンセラーがサポートしてくれるため、作業の効率化や第三者の視点からアドバイスにより視野の広い転職活動ができるのです。

一方で注意点としては、転職エージェントごとにサポートの質は異なるため、下記のサポート内容を他社比較しながらサポートの質を確認していくことをおすすめします。

転職エージェントを利用することで、こうした専門的なサポートを受け、より有利な立場で転職活動を進めることが可能になります。

転職エージェントがやめとけといわれる理由とデメリット

転職エージェントがやめとけといわれる理由とデメリットを、「実際に利用した人の体験談」をもとに解説します。

1.質の悪い求人を紹介されることがある

転職エージェントを使わない方がいいと言われる最大の理由として、求職者の希望に沿わない質の悪い求人を紹介されることがあるという点です。

転職エージェントのビジネスモデルが「求職者の転職先企業から報酬をもらう」仕組みで成り立っているという背景があります。その結果、担当者が自分の利益を優先し、人気のない求人や内定が出やすい企業を紹介するケースがあるのです。

例えば、キャリア面談の際に求職者の話を十分に聞かず、すぐに求人紹介や応募を迫られることがあります。このような場合は、そのエージェントの利用を控えた方が良いでしょう。

一方で、多くの転職エージェントは希望条件に沿った求人を紹介してくれます。理由は、転職後すぐに退職されると成果報酬を得られない可能性があり、長期的な信頼関係を築くことが彼らの利益にもつながるからです。したがって、エージェントを選ぶ際には、自分の希望をしっかり伝え、信頼できる担当者を見極めることが重要です。

2.希望条件に合う求人が必ずしも見つかるわけではない

転職エージェントを使わない方がいい理由として、転職エージェントを利用したからといって自身の希望条件をすべて満たす求人が見つかるわけではないという点です。

年収やポジション、勤務地、業界などの条件を細かく設定すると、それに合致する求人の数が限られてしまいます。

下図の階級別所得金額の分布（厚生労働省「国民生活基礎調査」） によると、所得金額の平均値は524.2万円ですが、年収800万円以上を稼ぐ人は全体のわずか20%に過ぎません。これは、ハイクラス求人の少なさや、そうしたポジションへの転職がいかに難しいかを示しています。

転職エージェントを活用して効率的に求人を探すとことは可能ですが、希望条件に100%合致する求人に出会うのは簡単ではありません。

3.担当者次第で相性やサポートの質が異なる

転職エージェントを使わない方がいい理由として、担当者の経験や知識・コミュニケーション能力が不十分な場合、満足のいくサポートを受けられないこともあります。

転職エージェントは専属の担当者がついてくれるメリットがある一方で、「人」によるサポートであることからも一定の属人性があります。そのため、自分と相性の良い頼れるキャリアアドバイザーに出会えるかは、正直「運」の要素が多くあるのです。

担当者との相性は転職活動の成否に直結するため、相性が合わないと感じた場合は、エージェントに担当者の変更を依頼するなど柔軟に対応することが重要です。

4.キャリアアドバイザーの意見に振り回される

転職エージェントを使わない方がいい理由として、キャリアアドバイザーからの様々なアドバイスに振り回されてしまうリスクがあります。

例えば、一方のアドバイザーが「スキルアップを優先すべき」と言い、もう一方が「安定性を重視すべき」と主張する場合、判断に困ることがあります。

そのため、キャリアアドバイザーの意見を聞きながらも、最終的には自分の意思やキャリアプランに基づいて決断することが重要になります。

5.スケジュール管理に時間と労力がかかる

転職エージェントを使った場合のデメリットとして、カウンセリング面談やキャリアアドバイザーとの連絡のスケジュール調整が必要になるため、時間と労力がかかり転職活動自体がストレスフルになる点が挙げられます。

下図は転職活動を開始してから実際に転職活動を終えるまでのプロセスを示したものです。

ご覧のように、転職活動には「自己分析」「求人検索」「レジュメ添削」「書類審査」「筆記試験」「面接」「内定」「条件交渉」とオファーを獲得し内諾するまでに多くのアクティビティがあることから、これらを転職活動と行うことはその分工数の負荷が発生してしまいます。

更には、転職活動にかかる期間は約28.8%の人が「1カ月以上3カ月未満」、約28.4%の人が「3カ月以上」の時間がかかるとされており、転職活動は長期戦であることからも転職エージェントの利用による負荷の影響が大きくなりやすいです。

転職活動期間	割合（%）
1カ月未満	18.3%
1カ月以上3カ月未満	28.8%
3カ月以上6カ月未満	15.7%
6カ月以上9カ月未満	5.9%
9カ月以上1年未満	2.9%
1年以上2年未満	2.7%
2年以上	1.2%
その他	24.7%

そのため、転職エージェントを利用する際は効率的な時間管理が求められるため、スケジュール表やタスク管理アプリなどを活用して効率的な活動推進をしていくことが必要不可欠になります。

相性の良いキャリアアドバイザーの見極め方

相性の良いキャリアアドバイザーの見極め方について解説します。

業界や企業に関する知識を持っているか

キャリアアドバイザーが業界知識を持っているかどうかは重要な要素です。

専門的な知識が豊富なアドバイザーは、業界特有の求人ニーズや給与水準についても熟知しています。

一例を挙げると、IT業界であれば、最新技術や企業の開発環境に関する知識を持つアドバイザーが、より的確なアドバイスを提供できます。知識豊富なアドバイザーと連携することで、ミスマッチを減らし、理想の職場に近づくことができます。

求人の詳細情報を細かく教えてくれるか

詳細な求人情報を提供してくれるかもアドバイザー選びのポイントです。

ポジションだけでなく、企業文化や職場環境、昇進の可能性なども含めて説明できるアドバイザーが望ましいです。

具体例として、求人票に記載のない福利厚生や社内の雰囲気を具体的に伝えてもらうことで、入社後のギャップが軽減されます。情報が充実しているアドバイザーとなら、職場選びの判断材料が増え、転職成功に近づきます。

連絡が早くコミュニケーションが密に取れるか

転職活動において、アドバイザーとの密なコミュニケーションは不可欠です。

連絡が早く、こちらの質問に迅速に応えてくれるアドバイザーは信頼でき、スムーズな進行が期待できます。

例えば、メールや電話の返信が24時間以内にあると、転職活動のタイミングを逃さずにすみます。コミュニケーションが良好なアドバイザーは、相談もしやすく、より良い転職体験を得られる可能性が高まります。

転職エージェントを利用する流れ

転職エージェントに登録してから内定までの、転職活動の流れは以下の通りです。

転職エージェントに関するよくある質問

転職エージェントに関するよくある質問を紹介します。

まとめ

最後にまとめです。

転職エージェントの選び方は、自分のキャリア目標や理想の働き方に適したサービスを見つけることが重要です。

また、複数の転職エージェントを併用しリスクヘッジを図ることが、エージェント選びに失敗しないコツでもあります。

転職エージェントは公開・非公開求人の検索から応募書類の添削、面接対策、さらには企業との条件交渉まで、転職活動全体をサポートしてくれるサービスです。

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